2025.01.09

飲食店開業、営業許可の手続きで迷わないために

新しく飲食店を営業するには、営業許可が必要です。許可取得にあたっての重要点をわかりやすく解説します。

営業許可書の種類

飲食店の開業には、店舗の営業内容に対応した許可が必要です。一般的には「飲食店営業許可」が必要ですが、深夜にお酒を提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」も必要となります。どの許可が必要かは、店舗の営業形態によって異なりますので、予め保健所や自治体に確認し、適切な手続を進めましょう。

飲食店営業許可証の申請から開業までの流れ

1. 保健所に事前相談する

開業予定の施設が法令で定められた基準を満たしているかを確認するため、まずは保健所に事前相談を行います。この際、施設の平面図や設備に関する情報を持参するとスムーズです。

2. 飲食店営業許可の申請を行う

営業開始の約2週間前までに、保健所で申請を行います。必要書類には営業許可申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格証明書などがあります。申請時には手数料の納付も必要です。

3. 保健所による立入検査を受ける

申請後、保健所が施設の基準適合性を確認するための立入検査を実施します。不備があれば指導が入り、改善後に再検査が必要になることもあります。

4. 飲食店営業許可証を受け取る

立入検査に合格すると営業許可証が発行されます。受け取った許可証は、店内の見やすい場所に掲示する義務があります。

5. 消防署に防火管理者を届け出る

店舗の規模や形態に応じて、防火管理者の選任と届け出を行います。適切な防火設備の設置も確認してください。

6. 飲食店の営業を開始する

すべての手続きが完了したら、営業を正式に開始できます。営業後も継続的な衛生管理を行い、安全で安心な食品提供を心掛けましょう。

飲食店営業許可の要件や資格

1. 食品衛生責任者の要件

食品衛生責任者は、店舗で提供する食品の安全性を確保するために必要な資格者です。以下のいずれかに該当する方が食品衛生責任者になれます:

  • 調理師、栄養士、製菓衛生師などの国家資格を持っている者
  • 食品衛生責任者養成講習会を修了した者(資格がない場合はこの講習を受ける必要があります)

講習会は、公益社団法人大阪食品衛生協会などが主催しており、受講後に責任者資格を取得できます。講習内容には、食品の取り扱いにおける衛生管理や法令に関する基礎知識が含まれます。責任者は店舗ごとに選任し、開業前に資格証明を保健所へ提出します。

2. 防火管理者の要件

防火管理者は、店舗の火災予防や緊急時の安全確保を行うための資格者です。飲食店では、建物全体の収容人員が30人以上の場合に選任が義務付けられています。この要件に該当する店舗は以下を準備する必要があります:

  • 防火管理者資格者証を取得するために、消防署が実施する「防火管理者講習」を受講する
  • 防火管理者は、火災予防対策の計画作成や訓練実施を行い、店舗の安全を維持する責任があります

防火管理者の届け出は、営業許可取得後に所轄の消防署で行います。講習内容や受講スケジュールについては、各地域の消防署で確認できます。

飲食店営業許可申請時に集める書類のリストと取得場所

必要書類と取得先

  1. 営業許可申請書
  2. 施設の構造及び設備を示す図面(2部)
    • 取得先: 自身で作成するか、建築士や設計者に依頼して作成します
  3. 営業設備等確認票
    • 取得先: 保健所または公式サイトからダウンロード可能
  4. 登記事項証明書(法人の場合、コピー可)
    • 取得先: 法務局で発行。オンライン申請も可能です
  5. 食品衛生責任者の資格を証するもの(コピー可)
    • 取得先: 資格保持者の場合、資格証明書をコピー。資格がない場合は、公益社団法人大阪食品衛生協会で講習を受講し、修了証を取得
    • 大阪食品衛生協会
  6. 井戸水等使用の場合は、水質検査成績書(26項目)
    • 取得先: 検査機関(保健所または民間検査機関)で検査を依頼
  7. 申請手数料(申請書受理後は返金不可)

保健所による立入検査の留意点

保健所による立入検査は、飲食店営業許可を取得するための重要なステップです。検査当日までに、施設が基準を満たしているか確認し、以下の点に留意してください。

  1. 電気、ガス、水道の開通

    検査時には、全てのインフラが稼働している状態にしてください。これにより、保健所が施設設備の動作状況を確認できます。

  2. 調理場の設備と構造の確認
    • 調理場には使用目的に応じた洗浄設備を設置し、給湯設備も完備してください
    • 手洗い設備は、自動式やレバー式など再汚染を防ぐ構造のものが必要です
    • ネズミや昆虫の侵入を防ぐため、換気扇や窓には防虫網を設置してください
  3. 食品保管設備の適正性
    • 食品の種類に応じた冷凍・冷蔵庫を設置し、温度計を備え付ける必要があります
  4. 施設全体の衛生環境
    • 床や壁は清掃しやすい不浸透性の材質で作られていることが求められます
    • トイレは調理場と完全に区画され、専用の手洗い設備を備えていることを確認してください
  5. 自己チェック表での最終確認

    自己チェック表を活用し、不足箇所がないか再確認しましょう。

飲食店営業許可証の取得にかかる費用と期間

飲食店営業の申請においては保健所に手数料を支払う必要があります。費用の目安は、金額は管轄する保健所によって異なるため、ホームページなどで確認してください。大阪府の場合は16000円です。

費用

飲食店営業許可を申請する際には、保健所に手数料を支払う必要があります。この費用は、地域や営業形態によって異なり、所管の保健所で確認が必要です。たとえば、大阪府の場合、一般的な飲食店営業の新規許可手数料は16,000円です。費用は申請時に支払うことが求められ、手続きが完了した後の返金はできません。

期間

申請から営業許可証が交付されるまでには、通常2〜3週間程度かかります。この期間には、書類審査や現場検査が含まれます。保健所の繁忙状況や申請内容の不備によって期間が延びる場合もあるため、開業日程には余裕を持たせることをおすすめします。

大阪での申請や相談窓口の紹介

大阪府内の保健所一覧をまとめました。各保健所の所在地、電話番号、所管区域を記載しています。飲食店営業許可申請や各種相談の際にご参考ください。各保健所の詳細情報や最新の連絡先については、厚生労働省の公式ウェブサイトをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hokenjo/h_27.html

保健所名称所在地電話番号所管区域
北部生活衛生監視事務所北区扇町2-1-27(北区役所2階)06-6313-9518北区、都島区、淀川区、東淀川区、旭区
西部生活衛生監視事務所港区市岡1-15-25(港区役所4階)06-6576-9240福島区、此花区、西区、港区、大正区、西淀川区
東部生活衛生監視事務所中央区久太郎町1-2-27(中央区役所3階)06-6267-9888中央区、天王寺区、浪速区、東成区、生野区、城東区、鶴見区
南東部生活衛生監視事務所阿倍野区旭町1-1-17(サンビル阿倍野3階)06-6647-0723阿倍野区、東住吉区、平野区
南西部生活衛生監視事務所住之江区浜口東3-5-16(住之江区保健福祉センター分館)06-4301-7240住之江区、住吉区、西成区
池田保健所池田市満寿美町3-19072-751-2990池田市、箕面市、豊能町、能勢町
茨木保健所茨木市大住町8-11072-620-6706茨木市、摂津市、島本町
守口保健所守口市京阪本通2-5-5 (守口市庁舎8階)06-6993-3134守口市、門真市
四條畷保健所四條畷市江瀬美町1-16072-878-4480大東市、四條畷市、交野市
藤井寺保健所藤井寺市藤井寺1-8-36072-952-6165松原市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市
富田林保健所富田林市寿町3-1-350721-23-2682富田林市、河内長野市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村
和泉保健所和泉市府中町6-12-30725-41-1382和泉市、泉大津市、高石市、忠岡町
岸和田保健所岸和田市野田町3-13-1072-422-5683岸和田市、貝塚市
泉佐野保健所泉佐野市上瓦屋583-1072-464-9688泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町

関連する許認可が必要かチェック

飲食店営業許可を取得しても、店舗の形態や提供するサービスによっては追加の許認可が必要になる場合があります。

  • 食品製造業の許可

    飲食店営業と併せて菓子やめん類など食品の製造販売を行う場合、食品製造業の許可が必要です。食品の種類ごとに法令や都道府県条例で要件が異なるため、詳細を確認することが重要です。

  • 酒類販売の許可

    酒類を開栓せずにそのまま販売する場合には、別途酒類販売許可が必要となります。

  • 深夜酒類提供飲食店営業

    深夜(午前0時以降)に酒類を提供する店舗では、警察への届け出が求められます。

  • 風俗店営業の許可

    接待を伴う店舗や遊興を提供する店舗では、警察への届け出や風俗営業許可が必要です。

  • 動物の取扱の許可

    アニマルカフェのように動物を飼育・展示する場合、第一種動物取扱業の登録申請を行わなければなりません。

手続きが面倒なら行政書士を活用して効率よく許可を取得しよう

飲食店営業許可の取得には、書類の準備や保健所とのやり取りなど、煩雑な手続きが伴います。行政書士に依頼することで、これらの作業をスムーズに進めることができます。行政書士は、法律に基づき官公署に提出する書類の作成を業務として行える唯一の専門家です。適切な書類作成や迅速な申請手続きをサポートするため、初めての飲食店開業で不安な方や時間が限られている方にとって、非常に心強い存在です。効率的に許可を取得するためにも、行政書士の活用を検討してみてはいかがでしょうか。